はじまりは昭和の不動産業界
4月21日で、堤エステートは創業35周年を迎えます。宅建免許を取得し不動産業に携わるようになったのは19歳のとき。気がつけばもう41年もこの業界にいることになります。
その間に昭和・平成・令和と時代は移り変わり、不動産を取り巻く環境も目まぐるしく変化してきました。平成バブルの狂乱、1990年の総量規制による銀行融資の一斉停止とそれに伴うバブル崩壊、リーマンショック、ゼロ金利時代の到来…。不動産は常に時代の影響を強く受ける業界であり、それを身をもって体験してきました。
不動産業者の質も時代とともに変化してきました。私が堤エステートを創業したのは24歳のとき。当時の不動産業者には「うさんくささ」と「迫力」が共存し、中にはぱっと見で“893”と見間違えるような社長もいたほどです。
当時はコンプライアンスの概念などなく、パワハラも当たり前。20代の若い社長などほとんどおらず、若かった私は珍しがられ、かわいがっていただくこともありましたが、血気盛んな性格ゆえに理不尽なことにははっきりと意見し、ときには他の不動産業者の社長と喧嘩になることもありました。

いま振り返ると、あの頃の社長たちと同じ年齢─いや、もしかするともう超えているかもしれません。時の流れをしみじみと感じています。
現状の不動産業の問題点
では、今の不動産業はどうでしょうか?
かつてのような「胡散臭い」「893っぽい」イメージは(ほぼ)なくなり、若い経営者やおしゃれな業者も増えました。フランチャイズ化も進み、昔ながらの不動産屋のイメージはかなり薄れたように思います(多分)。
しかしその中身はあまり変わっていません。むしろ現在の業者には昔とは違った【姑息さ】を感じます。物件情報を日々チェックしている私としては、その“演出”がひしひしと伝わってきます。
たとえば価格を1万円ずつ下げて「新着物件」として何度も再登録する、【両手仲介】を狙って『ふれんず』に専任媒介の物件を掲載しない、登録証明書を取得した後に物件情報を削除し【行方不明物件】を増やす─などなど。【姑息】としか言いようがない手法が横行しています。
また不動産のデータも把握せず相場を無視した価格設定、告知しなくてはいけないような事を記載しないまま情報を出し、取引が進む中にこちらの指摘で分かるなど知識の乏しい営業マンも目につきます。
そして昔から変わらないのが【売らせること】【買わせること】が一番の目的という姿勢。たとえお客様にとって不向きな物件でも、利益のために強引に勧める業者が今も多く存在します。

インターネットの普及で変化した不動産業
堤エステートが初めてホームページを開設したのは1998年。当時、自社サイトを持つ不動産業者はほとんどおらず、Yahoo! JAPANから「検索エンジンに登録していいか?」と連絡が来たほどでした。また先輩業者に「これからはインターネットの時代」と力説しても「ネットで物件が売れるわけがない」と苦笑されたのをよく覚えています。
2000年には、競売情報をネット配信する会社を立ち上げ、不動産業者向けの会員制サービスを運営しました。私は当時からインターネットが不動産業を大きく変えると確信していたのです。
最近よく使うChatGPTに「不動産業とインターネットの関係」について質問したところ、以下のように時系列で整理してくれました。
| ■ 1990年代後半〜2000年代前半(黎明期) ・不動産会社のホームページが一部で登場。 ・物件情報もFAXや紙の図面が中心。 ・SUUMOやホームズの前身も誕生し始めたが、一般的ではない。 ・この頃のネット掲載は「あると珍しい」というレベル。 |
| 2005年〜2010年(普及の始まり) ・Yahoo!不動産やSUUMOなどのポータルサイトが本格化。 ・インターネットで物件を探すユーザーが増え、紙媒体や店頭情報誌から移行が始まる。 ・不動産会社も「ネットに載せないと問い合わせが減る」と意識し始めた時期。 ・ただし、この頃も「ネットはサブ的」な扱いの企業も多かった。 |
| 2010年代前半〜中盤(本格普及期) ・スマートフォンの普及とともに、ユーザーが常に物件を検索できるように。 ・写真や360度パノラマなどの情報が豊富になり「ネットを見てから来店」が当たり前に。 ・業者間情報(レインズ)も徐々にオンライン利用が浸透。 |
| 2020年代〜(デジタル化加速) ・コロナ禍で「オンライン内見」「電子契約」「LINE対応」などが急速に進む。 ・個人も不動産情報にアクセスしやすくなり、情報格差が縮小。 ・紙媒体を使わない業者も増加。 |
インターネット利用が当たり前になったのは概ね2010年頃から。そして本格的に2020年代からのスマホ時代の到来が、不動産業にとっても大きな転機でした。
この流れを見ると一般エンドユーザーにとって開かれた印象のある不動産業ですが、業者がネットを理解することによって、姑息で小手先の手法を使って自社のためだけに情報を隠したり、大手が情報を集約し囲うこと等が頻発してきています。つまり一度ネットによって開かれた情報が、再度閉鎖的になってきているのです。
不動産業とはオープンな市場であることがエンドユーザーにとっての利益です。それが一部業者の儲けと都合のために閉鎖的になるのは時代に逆行しています。
これは、人口減少によって【買いたい人】が激減していることも一因です。かつては情報を出せば反響がありましたが、今はそう簡単ではありません。買い手の奪い合いが激化する中、営業マンは会社から契約と利益を求められため、競争は激化するばかり。いい売物件を得たらみすみす他業者に仲介をつけられるより自分で【両手仲介】としたい!それが業者の本音でしょう。
未来の不動産業とは
これからの不動産業に求められるのは、単なる【売買の仲介】ではなく情報の透明性と顧客視点に立った『伴走型のサービス』です。技術の進化で情報はオープンになったように見えても、業者都合の【物件囲い込み】や演出による【情報操作】は依然として残っています。
しかし本来、不動産業は「暮らしの未来」を共に考える仕事のはずです。物件の条件だけでなく家族構成、将来設計、資金計画まで寄り添える存在でなければなりません。
未来の不動産業とは、“相談される業者”が選ばれる時代。誠実に、透明に、そして一人ひとりの人生に寄り添う不動産業こそが、これからの時代に必要とされると私は確信しています。
これから10年を見据えて
人口減少、空き家の増加、相続不動産の複雑化─これからの10年、不動産業は「売れればOK」の時代から「どう活かすか」を問われる時代になります。
不動産を「売る」ではなく「使う」「守る」「つなぐ」といった視点が重要になり、より長期的な視野と専門性が求められます。また買い手市場が加速する中で、業者の“目利き力”と“説明力”の差がより鮮明になります。
堤エステートは、この10年を“再定義の10年”と捉えています。表面的な販売ではなく、本質的な価値を見極め、伝え、最適な選択を支える存在でありたい─その覚悟で、次の10年に挑んでまいります。












