物件調査を甘くみるな
不動産を購入する際は、その物件が適正な価格であるか、土地や建物だけでなく近隣の住環境に問題はないか等、あらゆる角度から事前調査が重要です。
そして事前に室内を確認できない競売不動産の場合はさらに注意が必要です。室内の様子は裁判所より公告される物件資料(三点セット)のみが頼りです。しかしこの裁判所の資料は公告される約3ヶ月前に作成されており、入札時の物件現況と大きく異なる場合があります。

こんなことが起こる場合もあるため不動産業者が入札をする時は、裁判所の資料だけを参考にするのではなく独自に物件調査を行なった上で入札を検討します。
裁判所の資料は執行官によって作成されますが、不動産のプロではありません。記載内容に誤りがあることもあります。
裁判所の調査ミス発見!
以前、当社が会員様の依頼を受け、物件調査を行った結果、裁判所の「三点セット」の評価書の調査ミスを発見し、競売の延期に至ったこともあります。私がが物件調査を疎かにして入札していたら大変なことになっていました。
以前、当社が会員様の依頼を受け、物件調査を行った結果、裁判所の「三点セット」の評価書の調査ミスを発見し、競売の延期に至ったこともあります。私がが物件調査を疎かにして入札していたら大変なことになっていました。
事件番号:平成13年(ケ)1252/土地建物・ファミーユ香椎
裁判所記載の道路がない!
裁判所資料(三点セット)の評価書には「道路の状況 南側に幅員約4m行き止まりの舗装市道に接面する」とはっきり記載されています。物件写真にも道路とみられる写真が付いていました。

しかし法務局で公図を確認したところ、あるはずの道路の記載がありません。

道路部分の土地は隣接する香椎小学校の敷地の一部だったのです。しかも記載されている道路部分の一部は4m未満の箇所もありました。

通常、建築基準法上の道路(4m以上の道路)に2m接していなければ、建物を建築する事はできません。つまり将来的に建替を計画する際、再建築できない可能性のある土地だったのです。土地を購入する際、道路との関係は非常に重要な要件ですので特に注意が必要です。
さらに福岡市役所の路生課・教育委員会施設管理課・建築指導課等で調査をすすめると、以下の事が判明しました。

最終的には「再建築の方法はあるものの、制限を受ける可能性があり、同等の建物を建築する事が出来ない可能性が高い」と言う結論になり、当方は裁判所に公告資料と内容が違う証拠である書類を一式持ち込み競売の取下げを申立てました。
結局この競売物件は入札が延期になりました。その後、再度競売で公告され私が裁判所の三点セットを見たところ、前回の内容と何ら変わっていませんでした。開札の結果は(この件を知ってか知らずか)不動産業者が落札しました。恐らく落札業者はリスクについて調査をしなかったのではないでしょうか。
ファミーユ香椎の開札結果
| 最低売却価額 | 29,150,000円 |
| 入札総数 | 16票 |
| 入札金額 | 入札者名 | |
|---|---|---|
| 1 | 48,855,000円 | 不動産業者 |
| 2 | 47,651,000円 | 個人 |
| 3 | 43,730,000円 | 個人 |
| 4 | 43,010,050円 | 個人 |
中を開けてビックリ!私の失敗例
当社で販売する物件仕入れのとき、事前調査をおろそかにしたために「中を開けてビックリ!」となった事例をご紹介しましょう。もちろんその後にはこの時の失敗を後に活かしておりますが、本当に大変でした。
事件番号:平成14年(ケ)1260/東峰マンション清水2
裁判所資料と現況が全く違う!
裁判所資料(三点セット)の現況調査報告書には、特段変わった内容の記述はなく、所有者夫婦が普通に居住している物件のように書かれていました。

特段問題もないので入札、そして落札しました!
落札後物件を訪ねてみると、なんと所有者夫婦は両人とも身体が不自由で車椅子を使用していたため床面はスロープ状に改築、更に室内で6匹も犬が飼われていて床は傷だらけ…という状態。所有者夫婦とはすぐに立ち退き交渉を行える状況ではなく本当に途方にくれてしまいました。



裁判所に公告資料と内容が違うと申立てをして、物件を返還する試みをしましたが認められませんでした。最終的に所有者夫婦の今後の住まいを見つけ、次の生活を送れるお手伝いした上で退去してもらいました。更に室内は大規模なリフォームを施し、新しい物件として無事再生させることが出来ました。
裁判所資料に書いてあることが全ては限りません
競売物件の調査は最終的に自己責任でしっかり行いましょう!