【会員様】購入・売却から新事業コンサルまで、会員様の夢の実現をバックアップ
堤エステートは事業支援も行っています
堤エステートでは不動産の売買だけでなく会員様の事業支援も行っています。
不動産活用のアドバイスと実行 |
現在の事業内容とキャッシュフローの見直し |
新しい事業計画と資金計画の構築 |
融資先金融機関や各関係機関との交渉 |
プロジェクト推進の実行 |
多くの中小企業の経営者は本業に関してはプロフェッショナルですが、それ以外のこと、特に不動産に関すること・ファイナンスの組み立て・金融機関との交渉などは不得手と感じることが多々あります。有能な税理士や経理部門がついていれば心強いでしょうが、なかなかそうもいかない…、そんな中小企業も多く見受けられます。
私は不動産の不良債権処理の実務を通して、多くの経営者でもある債務者を見てきました。同じ経営者として、問題点や改善点を目の当たりにする度に『もっと早く出会っていれば…』と何度も思ったものです。
堤エステートでは不動産のプロであると同時に、長年の自社経営に基づく経験とファイナンシャルプランナーとしての知識、多くのプロフェッショナル(税理士、司法書士、弁護士、建築士、建築会社、金融機関等々)との連携、そして交渉力やプランニング力で依頼者の期待に応える事業支援を行っております。
今回の実例は、不動産購入に基づく新規事業立ち上げのプロジェクト。約3年に及ぶプロジェクトでしたが、とてもやりがいのある仕事でした。
始まりは人気エリア空家物件の売却依頼から
始まりは平成26年夏にいただいた売却物件のご相談でした。物件は依頼されたお客様の祖父母のご自宅で、既に空家となっている古い中古一戸建てでした。この住まいで育った伯母様(祖父母の長女)もご来社いただき、所有者であるおばあ様のことや物件に対する想いを聞かせていただきました。
おばあ様はご存命なので、売却した際に発生する税金も考慮しなくてはいけません。物件は福岡市東区屈指の人気エリア千早。西側が角地で千早公園に隣接している条件のいい土地でした。
大切な資産でもあるこの物件、今後どのような形で活かしていくかをじっくり検討することになりました。
隣地の訪問看護サービスの経営者は旧知の仲
しばらく時間が経ちました。それまで依頼されたお客様は会員になられて、様々なご相談をいただきました。そして所有者であるおばあ様が、ここ最近ご高齢のため体調が優れないことから千早の土地の件を改めて進めることになりました。
いろいろお話を聞いていくと物件の隣地は訪問看護・居宅介護支援サービスの事業所で、その経営者の方は伯母様であるT様と小さいころからよく一緒に遊んでいた姉妹とのこと。おじい様・おばあ様もまだお若く、T様も学生だったのでお家にもよく遊びに来ており、T様を『お姉ちゃん』と慕う仲だったそうです。
昔から不動産に関する格言として『隣の土地は倍だしても買え』という言葉があります。これは隣地を購入することで、土地は広くなり日当たりや道路付けも良くなることが多く、物件の資産価値が上がる可能性が高くなるためです。
また売主側にとっても想い入れのある土地を、昔から知っている方に購入してもらうのは、全く縁もゆかりもない人に売却するよりうれしく感じるのではないでしょうか。
早速、私が売主の代理人として隣地事業所の経営者姉妹にアポイントをとって会うことになりました。もちろん売主の代理人としては、人気のエリアなので安く売却するわけにはいきません。
お会いした経営者姉妹であるG様とH様はお二人とも看護師で、福岡市東区を中心に訪問看護と居宅介護支援サービスを行っています。話しただけで情熱をもって訪問看護・介護支援のお仕事をされているのが伝わります。
スタッフさんも多くいらっしゃいますが、お二人とも自らが率先して現場で動き、夜も休日も要請があれば利用者さんのもとへ駆け付けるとのこと。肌身離さず持っている携帯は常に鳴り響き、明るく対応する姿に驚きました。ご年齢も私より先輩と見受けられますが、とてもバイタリティがあるお二人です。隣地の物件売却のお話しすると、お二人共とても乗り気のようでした。
そして後日、この取引をまとめて欲しいという依頼と共に堤エステートの会員登録もいただきました。
土地を購入するための資金計画と資産の入替え
土地を購入するためには資金が必要です。そこで本当に物件購入が可能かを知るために、買主となる経営者姉妹と資金計画を組み立てます。
幸い経営者姉妹にはお父様の代から保有している不動産がいくつかありました。その中で事業所から数件離れた場所に、現在は空き家になっている亡きお父様のご自宅、そして歩いて5分程度の場所にスタッフさん達の駐車場として利用している空き地がありました。
そこで隣地土地の取得資金を確保するために、いずれかの物件を売却することで資産入替の提案をしました。
まずは空き家となっている、お父様がお住まいになっていたご自宅を拝見しました。平屋の建物はお父様の介護をするために大規模なリフォームを施したそうです。確かにバリアフリー化やお風呂の大規模な改装などをされてはいますが、プロの私の目から見ると荒い工事に見受けられます…。そして改装総額を聞くを驚くような高額なリフォーム代を支払っているのです!
人の良い姉妹は『ちょっと高いなぁ』とは思ったようですが、その時は急いでいたので交渉もあまりせず、すぐに支払ったようです。そしてその会社は今では事業をしていないとのこと!私だったら4分の1に抑えられたはず。早く私と知り合っていれば…。(←私、このフレーズよく言います…)
次に駐車場として利用している場所を見に行きます。こちらは更地でコンパクトな土地です。
より多くの資金を得るためには、立地や広さなどから空き家である中古一戸建ての方が高く売却できると考えます。しかし、どちらを売却するかは条件を揃えて検討することにします。
一方、売主にとって売却物件は大切な資産です。売却額として譲れないラインがあります。また税金の関係上、売却希望時期が決まっていたのでタイムリミットがあります。ということは買主が購入資金を準備する時間も限られています。
売主と買主の間に入る仲介業者としては、両者が納得いく金額の着地点を提案しなくてはいけません。スケジュールの調整とともに、様々なデータや販売・成約事例による査定、売主・買主それぞれにかかる経費も勘案しながら金額を模索します。
ここまで様々なシュミレーションや資金計画、販売作戦を考え数ヶ月が経過…。当初、空き家の中古一戸建てを仲介で売却しようとしましたが、いろいろと問題が出てきたためスケジュールの結果、駐車場として利用している空き地を私が買取ることになりました。
購入予定の土地で夢をかなえる
実は経営者姉妹には取得する予定の土地で夢をかなえたいと思っていました。それはサービス付高齢者住宅(サ高住)とデイサービス施設の建築です。
現在、訪問看護と居宅介護支援サービスを行われているお二人は、看護や介護が必要な方が安心して過ごすことができる、そしてご家族が利用者を安心して預けることができるサービスが必要と思っていました。これは日々、在宅で看護や介護をされているお宅を訪問しているからこそわかることです。
そしてご自身のお父様の在宅介護を経験されたからこそ感じる、家族が本当に安心できる看護・介護を提供する場を創りたいという夢をお持ちでした。そんな時、ちょうどこの取引の話が湧いてきて、夢を実現できるチャンスがやってきたのです。現在の拠点である事業所の横にそのような場所ができれば業務も効率化できます。
しかし介護施設の建築には様々な申請や許可、設備や運営に関する基準が設けられているため、専門的知識と多額の資金もが必要です。お二人は金融やファイナンスの知識は専門外なうえ、日々の実務に追われているため資金計画のプランニングは難しいでしょう。
更にお父様のご自宅リフォームの際も高額な請求(相場の2倍以上!いわゆるぼったくりです!)にも関わらず応じてしまう、人のいいお二人が、金融機関と金利の交渉をするのはとても無理ではないでしょうか。そこで私がフルサポートすることになりました。
高齢化社会となる日本、そこで本当に必要とされるのは、情熱をもって看護・介護の仕事に取り組む経営者姉妹とそのスタッフのような方々です。これも何かのご縁、このお二人だったら自分の親に何かあったときも見ていただきたい…、そう思えるお二人の夢に私もお手伝いすることを決意しました。
私が取り組むのは『綿密な資金計画のプランニング』『金融機関との交渉』『建築を進める際の関係者各所のチェックや連携』です。お二人はとても心強く思っていただいたようです。
新プロジェクトの資金計画と金融機関との交渉
まずはサ高住・デイサービスの建築と運営費の試算です。現在の経営状況や経理の把握、利用者数の予想や経費・利益予想を一緒に確認しながら建築費の試算、諸経費の計算などを行います。建築費を出すために、まずは建物の図面を作成しなくてはいけません。
資金計画や予算によってケースバイケースになりますが、堤エステートでは建物を建てる際には設計と施工を分けることをお勧めします。それには理由があります。
まず設計を行う建築士は図面を作成するだけでなく、工事監理(見積もりのチェックや工事の確認等)も重要な仕事です。施工と分けることで第三者的な立場から現場のチェックも可能となります。
一方、工務店やハウスメーカーの多くは「設計と施工が一体」が一般的です。しかし一体であるがゆえに、設計が施工の意向に引きずられることが多く見受けられます。また利益や工期を重んじるため、現場への配慮が生まれ会社都合の施工になりがちです。それを回避するためにも、設計は独立した建築士に依頼するのです。
さらに設計と施工を分ける大きなメリットとして、設計図を基にコンペ形式による建築会社の選定も行えます。これによって価格の比較も一目瞭然になります。
本来、設計はデザインを重視し、施工は造りやすさや工期を重視するように、設計と施工は利益相反の立場になります。その立場を利用することで優れたデザインとより良い施工の実現が可能となるのではないでしょうか。
今回は介護施設の設計・建築です。これらの建築物には様々なルールあり、そのような施設の設計を経験している建築士を紹介していただきました。それが株式会社深田環境建築デザインの一級建築士・深田晋氏です。
とにかく建物は良いものでコストを下げたい!そういう私の(無理難題な)要望に応えるべく、いろいろと考えてくれました。
日中は電話にでる暇も無いくらいお忙しいお二人にために、打合せはいつも19:00位から始まり、終わるのは22:00過ぎ。毎回、建物のことだけでなく在宅看護・介護の現場のお話を聞き、もう本当に頭の下がる働きっぷりに我々一同、頭が下がる想いでした。
このお二人は私より年齢的には先輩なのに、いつ休まれているのだろう…?
いつもそう思いながら帰路についたものです。こんな打合せを月に1回程度、一年間以上続けてきました。
同時に、金融機関との交渉を行います。これは私が窓口となり、現在の取引銀行の他にもう一行選定して融資額と金利を競わせます。そして金融機関が必要とする、そして担当者が説明しやすいような書類や資料作成の準備も行います。時間はかかりましたが(しかしタイムリミットもあるので急ぎながら)、無事、取引銀行から満足いく融資条件を引き出すことができました。
これで何とか資金計画がまとまり、土地取引の運びとなったのです。
土地の取引は平成27年12月、皆にとってのクリスマスプレゼントでした
12月上旬、決済前に井戸のある物件の水神上げを行います。
水神上げとは、その井戸を埋めるために神様に上ってきてもらってお祓いをすること。多くの不動産業者や建築会社は井戸の取り扱いに注意をします。井戸には水の神様である水神様が祀られており、粗末にすると災いが起こると信じられているからです。堤エステートでは何度も水神上げを行っています。
お祓いを行うというのは、今までお世話になったものに敬意を表し、新しいことを滞りなく進めるために関係者全員の気持ちをまとめる儀式なのかもしれません。この日はいつも地鎮祭などをお願いする、流鏑馬(やぶさめ)で有名な飯森神社の神主様に来ていただきました。
売主側としてT様、そして買主となるお二人もいらっしゃいました。とても久しぶりに会われた皆様は本当にうれしそうで、もうすぐ解体される建物の思い出などを話されていました。亡くなられたおじい様や当日はお越しにはなれなかったおばあ様もきっと喜んでいらっしゃるのでは…そう感じました。
不動産は言ってしまえばただの土地建物です。でもそこに住んでいた方や、縁があった方たちにとっては想い出がたくさん詰まった場所です。これらの想いを売主から買主へ引き継げるこの取引、本当にうれしく思いました。 そして平成27年12月24日、無事に決済が行われました。
年末の関係で物件はこの時は既に、更地の状態になっていました。
そして年が明け遂に新プロジェクトが本格的に動き出すのです!
新規プロジェクト本格始動と更なる金融機関との交渉
土地の準備はできました。
一方、建物図面の詰め・建築会社の選定・行政への申請など、業務は多岐に渡ります。私も細かい金額のチェックやスケジュールの確認、更に行政への交渉の同席など不動産業者を超えた業務に追われます。
しかし本当に行政の許可や各所の調整には手間取ります!全く現場を知らない行政の人から、建築に関する細かいルールのダメ出しがある度に苛立ちを募らせたものです。
更に医療・介護関係で使われる部材・設備等の高いこと!初めて見る専門的な業界の建築には高いコストがかかることを知り、なぜそこまで高額になるのか強い疑問を感じました。そしてこれらのことを知ることは本当に勉強になったものです。
建築会社は介護施設の建設経験もあり、提案力とコストパフォーマンス兼ね備えた数社に絞られていました。それぞれの見積りと提案を建築士の深田氏が細かくチェックをしてくれます。そして最終的な見積り金額と提案から選定されたのが、株式会社イクスワークスです。建築費は他社に比べて1割近く安く提案していただきました。実績は申し分なく、企業努力でコストを抑えていただきました。
この時土地購入から既に半年、6月になっていました。更に金額を精査し、最終的な金融機関との交渉を行います。もちろん私の役目です!
そして6月末の定例の打合せ。ひと段落ついた時私の誕生月だったため、皆様にお祝いをしていただきました。本当にうれしかった。そして改めて頑張ろう!と思ったものです。
その後、金融機関との交渉も無事上手くいき、融資金利も我ながら満足いく数字を引き出せました。やはり金融機関との交渉は重要です。事業の可能性や将来性のある会社ということを数字や結果でアピールしながら、担当者が銀行に説得しやすいように準備することも必要なのです。それにはやはり本業での結果が重要です。経営者であるお二人にもアドバイスをしながら激励します。
金額も出揃い、スケジュールも確定しました。いよいよ建築が始まります。そしてついに9月20日、地鎮祭が執り行われました。この時も水神上げと同じ飯盛神社にお願いをしました。
経営者のお二人と参加できるスタッフの方、関係者の皆さんと一緒に工事の無事を祈ります。そしてこの時、お父様の介護をされた空き家となっている中古一戸建てのお祓いも行います。結局この物件はスタッフの方々の駐車場にするため、解体することになったのです。きっとお父様も娘であるお二人の夢が叶うことを喜んでいらっしゃるはずです。
工事は順調に進み、私の役目は少なくなりました。残りはスケジュールの確認と建物引き渡しの際の金融機関とのやり取りです。そして平成28年12月23日、ついに棟上げまでたどりつきました。土地の決済が終わってちょうど1年が経っていました。
最近では棟上げの餅まきは少なくなりましたが、地域に愛される施設にしなくてはいけないという想いから盛大に行うことに。当日は近隣の子供たちをはじめ、多くの人にお越しいただきました。
建物完成!そして本当にうれしいお披露目会
平成29年4月末、建物はついに完成しました。最終的な確認をして5月中旬には引き渡し、金融機関からの融資も滞りなく完了ました。最初に物件売却のご相談から約3年半が過ぎていました。完成した室内を見ながらいろいろなことが思い出されます。
そして平成29年6月3日、本格的な運営が始まる前に経営者姉妹とスタッフの方々主催で完成お披露目会が開催されました。工事関係者や金融機関担当者も招待されており、皆うれしそうです。
そしてそこには売主側としてT様もいらしていました。
フードコーディネーターでもあるT様は料理のプロです。当日振舞われたお料理はT様とスタッフさんの手作りでした。
そしてT様よりこの時、おばあ様がこの施設に入居されることになったとお聞きしたのです。おばあ様はご高齢のため介護が必要になっていたため、納得できる施設や病院を探されていました。しかしこの場所がサ高住になることで、信頼のおける経営者姉妹におばあ様を託すことができたのです。
何よりうれしいのは、もともとここは、おばあ様の住まれていた場所だったということ。最初に物件売却のご相談をいただいた時には、こうなるとは思ってもいませんでした。しかし最終的に経営者姉妹の夢は実現し、売主であるおばあ様は長年暮らしてきた場所に戻ってくることになったのです。それも小さいころから知っている姉妹が付いてくれる場所に。
T様はとても感激していました。そして出来るときはサ高住でのお食事を作るお手伝いをされることにしたそうです。T様のお母様にもご自身が作ったお食事をいただいてもらえます。もしかしたら最初からこうなるために事は進んでいたのかもしれません。
更にもうひとつ心に残ったのは、スタッフの方や関係者の方の言葉でした。それは皆さんが経営者姉妹の頑張りをみて『私も頑張ろう!』と思われていること。看護・介護はとかく厳しい現場と言われています。しかしお二人によると、ここのスタッフさん達は皆さん長く勤められていて、募集をしてもいい人ばかりが集まるとのことでした。
本当にこんな看護・介護の現場が増えて欲しいと思ったものです。福岡市東区近隣で在宅看護や介護にお悩みの方は、ぜひご相談下さい。また看護・介護のお仕事でやりがいを求めていらっしゃる方もぜひご相談下さい。私が自信をもってオススメします。
なごみ訪問看護サービス |
ちはやふる和(サービス付き高齢者向け住宅) |
なごみのデイサービス |
住所:福岡市東区千早2丁目21-11 |
電話:092-674-3335 |
不動産がつなぐご縁でとても素晴らしい仕事に携わらせていただきました。今後もこのような不動産に関連した業務支援を取り組んでいきます!