【任意売却の実例】問題業者の甘い言葉で期待を持たせ、結局は競売に

長引く不況を背景に当社にも任意売却の相談が増加しています。悪徳業者に騙されて実際に当社に切羽詰まって駆け込んでく来た方の実例をご紹介します。

出会いのきっかけは競売入札の調査

福岡市近郊で、TVにも出演したことのある老舗の食料品店を営まれていた老夫婦。マルチ商法に熱心だった娘さんの借金で自宅と店舗を担保に入れ、結局借金が払えず、消費者金融に手を出してしまいました。そのため多重債務に陥り、金融機関により競売を申し立てられていました。

そこに任意売却のスペシャリストと称するA社が債務者である老夫婦に近づきます。A社は期間入札にかかる前の配当要求終期の公告で債務者の情報を得て、債務者の所に行き「競売になると一銭ももらえず立ち退きを迫られる!」と必要以上に不安を煽り「当社で買い取り、今までどおり賃貸で利用できます」などと言って、事業を続けたいという弱み付け込みました。事業継続を約束された老夫婦は喜び、A社に任意売却を依頼する事にしました。

期間入札が近づき、入札を検討する不動産業者が続々と押し寄せますが、老夫婦は、A社からの力強い言葉を信じ切っていました。この時、堤エステートはこの物件の入札を検討しており、調査のための視察に伺いました。その時、老夫婦と挨拶交わし今までの経緯をお聞きしましたが、上記のとおりA社を信じられていたので物件を後にしました。しかしA社は業界内でもとても評判が悪い業者で、老夫婦の言っている賃料による低利回りで運用する事は考えられないと思っていたのです。

そして残念ながらその予想は的中し、期間入札に入る当日になって、老夫婦が娘さんと連れ立って、当社に血相を変えて来社されました。お話をお聞きすると、A社に「買取れなくなった」と一方的に電話で告げられたとの事。「やはりこうなったか。」と思うと同時に、しょげ返る老夫婦を見て怒りがこみ上げて来ました。

老夫婦はひたすらお客様に喜ばれるために仕事を頑張ってきた方です。借金もなく、ただ娘のために家土地を担保にしたがために、このような結果となっています。なんとかしなくてはいけない…と思い、気が付いたら言っていました。

「やれるだけの事はやりましょう!」

債権者との交渉期間は4日間

老夫婦の願いは事業を継続することです、払える賃料をお聞きして、その場で買取価格を決定。次に債権者全ての同意を取り、競売を取り下げなくてはなりません。

通常、任意売却は債権者への配当案などの提出をはじめ、何より債権者の納得出来る価格を提示しなくてはいけませんので、多くの時間を要します。ケースによっては1年がかりの大仕事になります。しかしこのケースはタイムリミットが4日間。抵当権者3社全部から抵当権抹消の同意が必要であり、通常ならとても無理な案件です。

でもそんなことを言っていてもしょうがない!

まずは老夫婦と一緒に債権者回りです。1日で債権者回りをする中で、債権者の担当者の中には老夫婦の事業自体を応援してくれる方もいて、「頑張ってください!」と言われます。もちろん債権額が減るわけではありませんが、このような対応を見ることで、老夫婦のために頑張らなくては…!と改めて思ったものです。

債権者との交渉を重ねていく中で一番心配だったのは、大口債権者である金融機関の窓口が東京だったこと…。競売の取下げには、抵当権抹消の書類とハンコが必要です。それをもらうために交渉を行いますが、直接会うことができないため、電話で話をするしかありません。ありったけの交渉力と熱意で話を進めていきます。3日間という短い期間の中で何回電話で話を重ねたでしょうか。ついに担当者が「わかりました。堤さんの熱意を信用して、取下げに合意しましょう。」と言ってくれたのです。そして自分でも驚くほどのスピードで話をまとめあげ、奇跡的に全債権者から同意を得て、競売の取り下げに成功しました。

今思い返しても、奇跡です。上手くいった要因は、私と老夫婦がお互い信頼しあい、最終的には「なんとかしたい!」という熱意が債権者の心に響いたからだと思っています。

債権者交渉という嵐のあと

無事、物件が取下になったので、次は当社による買取業務を行います。幸い、老夫婦の物件は利便性の高い場所に位置する優良物件です。当社で買取を行い、無事抵当権は抹消。老夫婦の希望は、この物件で当面の事業継続なので、定期借家契約を公正証書にて作成した上、契約を結びました。

現在、老夫婦には引き続きお店を営んで頂き、月1回の賃料の支払いを当社までお二人で来られます。お忙しい毎日なので「銀行振込でも良いですよ」と言っているのに、賃料だけでなく、お店の商品や旬の野菜などのお土産と共に、わざわざ持参して頂きます。月1回の賃料支払日にお二人のお元気そうな顔を見ると安心します。人生の大先輩として教えられる事も多く、大変難しい仕事ではありましたがとても良い経験をさせて頂きました。

不良債権処理に必要なこと

不良債権処理を行うには、売却や買取が可能な物件であることも必要です。そして絶対に必要なのは、不良債権処理を行う私共と債務者の方との信頼関係。大変な時間と労力が必要となるので、最終的には「この人にために頑張らなくては!」と思う気持ちがなければ、私にはできない仕事と思っています。

任意売却には様々なケースがあり、専門知識も必要不可欠な仕事です。当社は物件の売却から、新たな住居の手配、更に自己破産等のお手伝いも、提携している弁護士等と共に行っています。また、不良債権処理に必要な債務者の方の精神的サポートも行っています。

入口から出口まで完全サポートをすることで、クライアントが苦しみから解放されてこそ、真の不良債権処理だと思います。クライアントの不安を煽り、物件の売却だけを急かせ、業者の利益を優先する輩も多いという事を認識して下さい。

当社のHPには、不良債権処理の実例の一部をご紹介しています。実際、これを見て相談に来られる方が多く、今後も出来る限り掲載出来る範囲でご紹介をしたいと思います。第二の老夫婦を出さないために。

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