

堤エステートの2007年は「仕事をする宣言」から始まりました。
アンテナを張っていると、知り合いの業者から物件買取の打診が。物件の名は、「リベーラガーデン イーストタワー
1804号室」、愛宕浜の海沿いに位置する大規模住宅地の中の高層マンションです。
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早速物件を見に行くと、20階建ての18階で部屋の向きは南向き、そしてベランダからは、息を呑むほどのすばらしい眺望!愛宕神社を正面に、福岡タワーからマリノアシティの大観覧車まで、景色が一望できるのです。 近隣には学校や公園が多く、マンション周辺には一戸建が多いため、将来的にも視界が遮られることがありません。
「すごくいい眺めだな、夜景もきれいだろうな」そんなことを感じながら、一つの思いが浮かんできました。“この物件をキャンバスに、住まいを創って販売してみたい”
近年、大都市圏では「リノベーション」という方法が注目されています。
リノベーション【renovation】とは、時間の経過とともに古くなった既存の建物を、現代生活にあった機能、用途に改修・改築し、新たなスタイルを持った住まいとして変身させ、その建物の魅力を再び高めること。言い換えれば、完成当時の価値を上回る価値を創造し、建物を再生するのです。
私はこのリノベーションに以前から興味がありました。中古住宅の売買をメインに行う不動産業者は、通常、中古物件を仕入れると商品化のためのリフォームを施し、利益を上乗せして販売を行います。しかし、リノベーションによって生まれ変わる物件は、物件自体の価値を 上げるために、その物件の特性を活かしつつ今必要とされる機能や用途、デザインを施すので、まさに「物件を創る」といえるのです。
縁があって巡りあった物件。これをキャンバスにしてみよう、
まずはそんな気持ちで物件を仕入れました。
では、この物件を誰に色づけをしてもらおう・・・。施工業者に関しては、今までの業務による付き合いの中で、いくつかの顔ぶれが浮かびます。しかし、この物件のプランやデザインは誰に頼もうか・・・と考えていました。
その中で、決まっていたことは「女性にこの物件を創ってもらいたい」ということでした。
近年、女性の活躍は目覚しく、特にこれからの不動産業界は女性の力が活かされる業界と思っていました。男性とは違う、細やかな心遣いと女性ならではのパワフルな感性で、この物件を創りあげて欲しいと思い、早速何人かに声をかけてみました。
そして紹介された中の一人が、女性建築家:宮城雅子さんでした。
まだ独立して2年足らずではありましたが、店舗や住宅の設計からデザインまでをこなし、各方面から注目されている女性で、とにかくパワーを持っている方。初めてお会いしたというのに、話は尽きず、その時間はなんと6時間!「この人に頼んでみよう」そう確信したのでした。
一方、施工業者の選定も行います。今回の試みを理解してもらい、チャレンジしたいと思ってくれる人。かつ、価格面でも努力(安く仕上げるという意味だけでなく、いい物をコストを抑えて創る気持ち)してくれるところ。そんな業者を探していきました。その中で出会ったのが、野口建装:野口社長。
彼は若いながら、既に自分で会社を持ち、最近ではめずらしい男気のある建築の職人です。彼自身も堤エステートに興味を持ってもらい、私の要求に応え、様々なプランや金額を提示してくれました。
物件も人も、全て新しい出会いから始まる・・・、空間を用意する不動産のプロと設計・デザインのプロ・建築のプロのコラボレーション、宮城雅子建築設計事務所+野口建装+堤エステートによるプロジェクトの誕生です。
さて、常に新しい試みを試したくなる私・・・。今回のプロジェクトでは、仕入れ価格をオ-プンにして、売却予想価格から逆算して最低利益水準を割り出し、それ以上の価格で売却できたら、パートナーである2人対して、ボーナスを与える成功報酬システムを導入してみました。これよって、設計や施工に対して支払われる報酬だけでなく、通常、販売を担当する不動産業者しか味わえない、「物件を売る」という「売却の喜び」も分かち合う事ができるのです。そして彼ら自身に2人が手がける物件の売却価格を決定してもらい、いざプロジェクトのスタートです。
プロジェクトが誕生してすぐ、今後の工程を考えていたら、宮城さんより提案がありました。 『福岡の街で開催されるDESIGNING展に、出展してみませんか?』
公式サイト http://www.designing10.jp/ |
2007年で3回目となる「DESIGNING 展」は、「今、何をデザインしようとしているのか?」ということを、企業・ショップ・デザイナーなどが、ショップ・ショールームやイベント会場、ウェブサイトにて独自のエキシビジョンやワークショップで表現し、デザイン関係者だけでなく、一般ユーザーを巻き込み、福岡の街をリレー形式で展覧(体感)できるエキシビジョンの集合体として開催。 |
今まで、デザイン等のクリエイティブな世界とは、無縁の世界で業務をしてきたため、何事も経験と思い、思い切って出品をしてみました。
出品のコンセプトは話し合いの結果、リノベーションで創る新しい物件の形を提案。間取りをすべて解体し、リノベーションによって生まれ変わる女性建築家の提案を展示することになりました。部屋全体を大きな模型と見立て、皆様にプランを体感していただきます。
また、その場に来ていただいた人が、物件を購入してくれるような展示にしたい・・・そのようにも考えていました。
さて、デザイン展出品が決定したものの、出品のためには物件に大規模なリフォームを施す必要があります。そのことについて近隣住民の方の理解を得るために、管理会社との交渉は必要不可欠でした。デザイン展までの日数があまりにも少ないので、突貫工事になる=騒音問題が浮上しました。結果、解体作業とパーテーションのみの工事にとどめ、何とか住民の方を交え何度も足を運びご理解を得ることが出来ました。
工事時間を9時から17時までに厳守して、解体が完了したのはデザイン展が開催される1週間前になってからでした。デザイン展前日まで3社は徹夜作業で、完成用模型の作成・パネル・広告物を仕上げました。
正直、このような「クリエイティブなものを創る」という業務経験はなく時間のない中、関係者各人と打合せをし、それぞれが創りあげてきたものを統合する・・・、それは大変なことでした。紆余曲折はありましたが、何とか当日を迎えることができました。各人が多くの時間と労力を費やし努力はしましたが、まだ納得できるものではなかったため、当日も裏側では作業を続け、お客様を迎えることとなりました。
今となっては笑い話ですが、本当にあの時は全員が疲労困憊、くじけそうになったものです。
一方、遠方のお客様にもこの物件の魅力を伝えたいと思い、WEB戦略も同時に進めていきました。物件の一番の魅力である夜景、この景色がポイントとなるため撮影にも力が入ります。しかし、自分たちによる撮影には技術的にも限界があります。
そんなとき、ふと目にしたNHKの朝のニュース。大分に住むおじさんが、手作りの機材を使い、パノラマ風景写真をとる姿が紹介されています。その独自に開発されたパノラマ写真は、とても横長いダイナミックな写真、それが次から次に紹介されています。もちろん写真はプロ級の腕前!もちろん、すぐさま連絡をとり、そのおじさんである大分佐伯在住の志賀本昌氏に
来ていただきました。
この志賀さん、九州大分県の風景を中心にパノラマ写真と立体写真で紹介するバーチャル観光サイトしています。その写真に対する探究心にはとてつもないパワーを感じました。リベーラガーデンからの写真を数多く撮影していただき、本当に満足いく写真が完成しました。
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この時、物件のよさを伝える写真が重要なことを、改めて感じたものです。そしてそれ以上に、年齢など関係なく、自身の興味あることを突き詰めていくそのパワーに関係者一同、心を打たれたものです。
やっぱり、皆で力をあわせて、すばらしい物件を見てもらおう!
そうしてデザイン展を迎えたのでした。
思えば物件購入から建築家・施工会社との出会い、管理組合のプロジェクトについての説明及び改装工事についての同意とりつけ、内装の解体工事、展示の準備までを、約1ヶ月でやり遂げました。
そして、4/26~30日までの5日間で来場者数は、なんと100人以上!実はデザイン展の出展物は、やはり天神近隣が多く、それに対して私共の出品は、愛宕浜という遠方だったので、お客様にお越しいただけるかが、心配の種でした。しかし、本当に多くの方が会場まで駆けつけて下さいました。私も最終日には、現地に向かい、当日は33名の来場者とお会いできると同時に久々の現場でもあり、疲れもしましたが、これだけ多くのお客様を一度にお会いでき、実り多い1日となりました。
デザイン展への出品という目的は成功に終わりました。しかし、物件の販売に対しては、結果的につながることができませんでした。やはり、デザインに興味があり出品展示を見に来られたお客様と、例えばオープンハウスに来られるお客様では、同じ来場者と言えど目的が違うのです。
また展示に対しても、販売するためのものではなく目的が違うため、販売するためには何が必要なのか、改めて考えさせられる大きなきっかけとなったものです。
何はともあれ、2007年の堤エステートにとって、デザイン展出品は不動産・建築・販売・WEB等の広告戦略・・・これらを改めて見つめなおす大きな出来事でした。
次は、いよいよ本格的に物件販売です。